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キャラクターに見られるジェンダーの扱いが気になる「日本旅游小常识」

先日、都内の観光インフォメーションに置かれていたイラスト入りの小冊子を見つけました。
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表紙に「日本旅游小常识」(日本旅行のまめ知識)とあります。

16ページの小冊子の中には、行列の並び方やゴミ捨て、車内の携帯電話、食事や買い物のマナー、トイレやお風呂の入り方など、日本でよく話題になる中国人観光客のマナー違反が指摘されていました。

この冊子を発行したのは、公益社団法人日本観光振興協会。去年4月のことです。

日本と中国との文化・生活習慣の違いに起因するトラブルを未然に防ぎ、中国人観光客が日本で快適に滞在できるよう制作したもので、簡体字版・繁体字版・日本語解説版の3種類があるそうです。全国の観光地や駅、インフォメーションやホテル等で配布されるほか、インターネット上にデータを公開しています。

日本を楽しむ『豆知識』
http://www.nihon-kankou.or.jp/home/mamechishiki/
公益財団法人 日本観光振興協会
http://www.nihon-kankou.or.jp/home/

日本観光振興協会のサイトには「この度、日本での滞在をより楽しんでいただくために「日本を楽しむ『豆知識』」を作成いたしました」とありますが、率直に言って、中国人からすると、楽しめる内容ではありません。中国人の数々のマナー違反を公然と指摘され、不名誉な気持ちになることもそうですし、中国人に対する差別的なニュアンスを感じさせられるからです。
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ある中国人留学生の女性は「この小冊子に登場するイラストの女性の描かれ方には、ジェンダー(社会的、文化的に形成された男女の性差)の問題を意識させられる」と言います。主人公の設定が、あまり教育程度の高くなさそうな若い女性に感じられるからです。

実は、この主人公の女性は、中国人女性を妻にもつ日本人イラストレーターの井上純一さんによる人気漫画『中国嫁日記』の続編『中国工場の琴音ちゃん』の主人公である「琴音ちゃん」だそうです。

中国工場の琴音ちゃん
http://comicdangan.com/manga/kotonechan/
中国嫁日記
http://blog.livedoor.jp/keumaya-china/

中国のフィギュア工場で働く彼女を主人公に設定したことも、気になるところです。なぜなら、日本を訪れる中国人観光客はそれなりに豊かな人たちばかりで、いわゆる工場労働者のような人たちはまずいないからです。

今回は中国語そのもののおかしさではなく、中国人に対するメッセージを発する場合の、基本的な理解不足が気になることを指摘したいと思います。

その意味では、この小冊子には台湾や香港の人たち向けの繁体字版まであるのですが、彼らにすれば、中国の本土の人たちと同じように、自分たちもマナー違反をしていると思われていたのかと知ると、相当ショックを受けることでしょう。台湾の人たちは、日本人以上に、交通機関を利用するとき、しっかり行列する人たちだからです。
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by ramei | 2017-06-02 17:16 | 週刊「間違い探し」 | Comments(0)